約三十数年前のこと、世界的に発生した原因不明の病気によって、生後数か月の子犬から成犬までもが、バタバタと死んでいくという事態が発生しました。
もちろん、日本でも東京や大阪をはじめとして各地でワンちゃんたちが病に侵され、あまりにもあっけなく死んでしまうワンちゃんたちの様子から、「ぽっくり病」あるいは、「コロリ病」と呼ばれて恐れられたものでした。
その後、研究の結果、「パルボウイルス」によるものと判明されましたが、それまで、これはネコの病原菌であって、ワンちゃんたちにまで感染するとは考えられていなかったのです。
数年後、ワンちゃん用のワクチンも開発され、予防接種が普及していく中、パルボウイルスに感染するワンちゃんは減少してきたものの、現在でも、ショップなどから引き取ったばかりの子犬たちが、パルボウイルスの感染により、死んでしまったり重症となったりと、飼い主さんたちの希望を奪ってしまうようなケースも数多くあるようです。
パルボウイルスの特徴は、激しい嘔吐からはじまり、その後、ドロドロとした赤っぽい下痢をするところです。
そして、その症状としては二通りあると言われます。
一つは、腸炎型パルボウイルスというもので、激しい嘔吐と下痢が見られ、症状が進むと血便と強い悪臭があり、また、脱水症状を起こしてショック状態となるものです。
腸の粘膜は、だいたい3日から5日ぐらいで、新しい細胞と入れ替わることが知られております。
ところが、その新しい粘膜を作る部位がパルボウイルスに侵されてしまうため、細菌などから身体を守りつつ栄養を吸収することが出来なくなってしまい、激しい嘔吐や下痢、血便、そして脱水症状、栄養失調などの症状となって現れるのです。
そのため、体力も免疫力も弱い子犬たちは、早ければ半日、遅くても1日か2日ほどで命を落としてしまうことになります。
さらに、もう一つは心筋型パルボウイルスで、心筋細胞がパルボウイルスによって破壊されてしまい、心不全による突然死となります。
そのため、ついさっきまで元気いっぱいだったワンちゃんが、急に悲鳴に近い鳴き声を上げ、嘔吐や呼吸困難となり、30分以内に死んでしまうというものです。
ワンちゃんに感染するパルボウイルスが、はじめて発見されたのは1978年のことでした。
ウイルスとしての生命力は強く、ほとんどの子犬のかかる病気としても知られております。
成犬であれば、ワクチンを施していれば、例え感染したとしても症状を発することなく回復します。
感染経路としては、感染したワンちゃんとの接触の他にも、感染したワンちゃんの便や嘔吐物、食器、また接触した人からも感染する可能性が高いと言われております。